釣り高知

偽物の餌? それだけでは語りつくせないルアーの世界

バスフィッシングに限らず、ルアーをはじめとする疑似餌を用いる釣り全般に言えるのが、その疑似餌の色や形、デザインや仕組みに関しての強いこだわり。
特にバスフィッシングとシーバス(スズキ)フィッシングにおいては、その傾向が顕著であり、釣具店に訪れてその陳列されたラインナップを眺めるだけで、幼い子供がおもちゃ屋さんに行ったようなワクワク感に包まれます。
しかし、釣りに関してあまり興味のない皆さんがそれらのルアーを手にとってまず頭に浮かぶのは「なぜこんなもので魚が釣れるのか?」という疑問です。
フィッシュイーターと呼ばれる、自分より小さな小魚等を餌として捕食する魚においては、その小魚に似せたルアーで魚が釣れるというのはある意味理にかなっていると言えるでしょう。
しかし、「なら餌で釣れば?」となるのがごく一般的な考え方。実際に本物の餌を用いて釣りをする方が釣果は稼げそうなものですし、釣れないよりは釣れる方がレジャーや趣味としては面白いわけで。
しかし、餌で釣ることが何らかの形で許されないとか不可能であるとか、そんな状況にだけ疑似餌が用いられているかというと決してそうではなく、ルアーフィッシングは釣りのカテゴリーのひとつとして定着し、ファンを獲得し続けているのです。
前述の釣具店のラインナップの話よろしく、そのカテゴリーは一大市場でもあると言えます。
なぜ、あんな偽物で魚が釣れるのでしょうか。
そればっかりは魚に訊いてみないとわからない、というのが結論ではあるのですが、筆者の考えを述べてみようと思います。

① 魚の本能や習性を読み解く

おそらく皆さんは、魚釣りがそのターゲットである魚たちの「捕食」という行動を前提にしているとお考えでしょう。
生命維持に必要な栄養を摂取する捕食行動は非常にわかりやすい習性ですので、当然その習性を利用した漁法は多く存在しますし、ルアーフィッシングもある意味そのひとつです。
しかし、他の習性は利用できないのでしょうか? 四万十川や仁淀川で行われる鮎の友釣りやうなぎのころばし漁等は、捕食行動とは直接的に関係のない習性を利用したものだと言われています。
ではルアーフィッシングはどうでしょう? もちろん捕食行動に連結する「餌を襲う」行動が主な反応ですが、それ以外にも様々な反応があると筆者は考えています。
例えば「おまえウザいわ」とか「どっか行けや」という怒りの感情が、自分の歯を使った威嚇や攻撃の行動につながるとするならば、それらの反応を利用しない手はないですよね。
そしてそのためには、構造や色や形が、魚を怒らせるのに適したものになっていくことが必要。そして現在の多種多様なルアーの数々になっていったと考えられなくはないでしょうか? 。
捕食以外の本能を利用できれば、捕食行動を取りやすいおなかが空いた魚だけではなく、それ以外の魚も釣ることができるということにもつながりますよね。

② ヒトには手があるが、魚には手がない

ヒトを例にとると、目の前をハエが飛び回ると反射的に手で払いのけようとします。
おそらく魚も、何か小さな生物に目の前をチラチラさせると、払いのけたくなると想像できます。
しかし、魚にはヒトのように手がありません。どうするかというと、口を使うんです。噛みつきに行ったり、咥えて捨てに行く訳ですね。
前述の威嚇行動や攻撃行動に類似する部分ですが、特にブラックバスやシーバスは獰猛な気質を持っていると言われており、怒らせて噛みつきに来させるのが比較的簡単なのではないかと筆者は考えています。
で、ルアーを噛みつきに来させて、そのフックが魚の口に届けばフィッシュオン、という状態を作れるのです。
実際に産卵期のブラックバスを観察すると、産卵をしようとする場所の底の土を尾びれではたいて均し、産卵に適した環境を作る様子がうかがえることがありますが、その付近に要らないものが紛れ込んでくると、口で咥えて外に持って行き排除するという行動が確認されています。
この産卵用のベッドをルアーで狙うと、この習性によってベッドを守る親の魚が高確率で釣れてしまうので、こういう場面に遭遇した場合は、ベッドを避けて釣りをするようご協力をお願いしたいところですが、ともあれ魚の習性を学ぶためには非常に興味深い場面であると言えます。
これらの口を使って異物を排除する習性も、ルアーで魚を釣るという目的には著しく重要な要素であると思われます。

③ 好奇心旺盛なブラックバスという魚

これこそ魚に訊かないと本当のことはわからないですが、とりわけブラックバスは好奇心の強い魚だと言われています。
おもちゃのように思って扱っているようにも感じますし、餌になり得る物体かどうかを見極めているようにも感じますが、いずれにしても動くものに比較的簡単に興味を示します。
視覚的に「餌だ」とか「ルアーだ」と判断するだけであれば興味深い要素とは言えませんが、問題はそれを視覚的に判断できなかった場合、しばしば口に入れるのです。
水槽の底に敷き詰めた砂利を金魚が口に入れては吐き出すという行動を繰り返すのを、金魚を飼ったことのある方は見たことがあるはずです。ナニしてんの? と思ったことのある方いませんか? 。
その金魚の行動と類似しているような気がしてならないのです。口の中でモゴモゴやってみて初めてわかる、というか。
そういう興味を補完する習性があるのかないのかは定かではありませんが、ルアーを口に入れるということは、釣り人にとってはフッキングのチャンスに他なりません。
上記のように、捕食、威嚇、攻撃、排除、興味といった魚の行動特性に疑似餌を沿わせてやることが、いわゆる疑似餌の釣りの目的であり、とりわけルアーを用いたゲームフィッシングは、それらを上手く合致させて釣果につなげるという戦略が大きな魅力のひとつです。
もちろんバスフィッシングは一部の習性のみを切り取って一口に表現できるような簡単なものではありませんが、それらにも考えを巡らせて水辺に立つとさらにワクワク感が増長するのではないでしょうか。
そして、ルアーをひとつ手にした瞬間にその使い方のイメージや水辺の風景が思い浮かぶようになったら、もうあなたも立派な釣り人の仲間入りです。

投稿者プロフィール

7th-lab
7th-lab
ルアーメーカー「issei」のコンテンツ用楽曲など多くの楽曲制作を手がけるかたわら、バス釣りにいそしむマルチプレーヤー。
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